1 記譜法


記譜法って何だろう?

記譜法とは、ひとことで言えば「楽譜を書くためのルール」です。五線のどの位置がドで、白い玉だとどれくらい伸ばす、といった決まりを音楽の授業で習った記憶はありませんか? そう、実はあれが記譜法なんです。(正確には数ある記譜法の中の「五線記譜法」というものに分類されますが)細かい話はさておき、楽譜の読み書きに欠かせないのが記譜法なんだと理解しておけば大丈夫。別名 ”楽譜の文法” とも呼ばれており、クラシックだけでなくポップスやジャズなどジャンルを問わず共通する知識なので、きちんと学んでおいて損はないはずです。こんな基本的な事はもう知ってるよという方も、改めて目を通してみると新しい発見があるかもしれません。作曲するにも演奏するにも全ての音楽人に欠かせないエクリチュール、それが記譜法です。


はじめに、記譜法にどんなものが含まれているのかを確認しておきましょう。

音符譜表
 音高音名音部記号/調号
 時間音価拍子記号/拍子
 表現奏法演奏記号
※音高とは文字通り”音の高さ”という意味
音価とは”音の長さ”のこと

これらと似たような知識が書かれた「楽典」を読んだことのある方は、どう違うの?と疑問に思うかもしれません。ポイントは記譜と直接の関係があるかどうかで、楽典には知らなくても楽譜の読み書きには困らない知識も多く記載されています。記譜法を含めて音楽の基礎を幅広く集めたのが「楽典」だという理解でOKです。

1番下の「表現」の行をいったん除いて考えると、「音符か譜表か」と「音高か時間か」の2通りの分類ができるわけです。列(縦軸)は音名や音価などの「音符」に関するものか、音部記号や拍子記号といった「譜表」に関するものか。行(横軸)は音名や調号などの「音高」に関するものか、音価や拍子といった「時間」に関するものか、となります。どちらにせよこの4つだけ理解すればよいと考えれば、記譜法はずいぶんシンプルだと思えてきませんか?「音高か時間か」にフォーカスして、それぞれをもう少し詳しく見ていきましょう。

◎演奏記号

先程「表現」については除くと言いました。その理由は、必要に応じて調べれば済むことばかりだからです。例えばクレッシェンドとかスタッカートといった楽語(音楽用語)を耳にしたことがありますよね。実際の楽譜にもよく登場しますので、この記事を読んでいる方の多くは恐らく意味もご存知だろうと思いますが、こういったよく使われるものは限られているのでそれで十分です。記譜法にはこういった「速度・強弱・曲想・奏法に関する表示法」がありますが、ここでは取り上げません。知識外の記号や単語を読み書きしたいときは、意味の書かれた一覧表(多くはイタリア語なので辞書のようなもの)を見ればいいだけなので、プロの演奏家でもない限り無理して覚える必要はありません。

◎音高に関するもの(譜表・音名)

譜表はト音記号やヘ音記号といった「音部記号」を中心に、と音名は”五線のどこかに書かれる音符” によって特定の音高を表現できるというものです。また、音楽には様々な調性を持つ楽曲には調号を楽譜に記す必要があるため、音階や調の知識も重要です。

◎時間に関するもの(音価・拍子)

音符と休符は “音が鳴っているか鳴っていないか” という違いがあるだけで、同じ音価を持つものとして考えられます。例えば4分音符と4部休符は全く同じ音価を持ちます。音を鳴らし始めてからどれくらいの時間が経ったらその音を鳴り止ませるのか、あるいは無音を終わらせるかということですね。ただ、いつでも自由なタイミングで発音したのでは曲になりません。そこで必要になってくるのが拍子に関する決まりです。

◎和声法の基礎

記譜法には含まれません(つまり知らなくても楽譜の読み書きには困らない)が、記譜法に続いて学ぶことになる和声法や対位法といったエクリチュールの基礎となる5つの知識を紹介します。

  • 音程
  • 音階
  • 音度
  • 調
  • 和音

これらをよく理解しているかどうかで、次の和声法に対する興味や会得時の効果が圧倒的に変わってきます。和声が苦手だという人の多くは、ここが十分に頭に入っていないことが原因になっています。特にクラシック系の音楽の作編曲をする上では、知っておかなければならない知識です。